【来訪者と島民の長屋】

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6つの家型でつくる「長屋」

大島は、雄大な山々の緑をバックに、伸びやかな海岸線とそれに沿うように広がる町なみの風景が印象的な島。 来訪者は、美しい風景と共に、地域の人々の温かさや大らかさに触れる事になります。
新しく作られる交流施設は、そんな地域の空気感をより顕在的に体感できる受け皿になればと考えました。

建築は、異なる屋根形状を持った6つの小さな家型が互いに寄り添い合い、『長屋』のような形態をとっています。 周辺の町なみのヴォリュームと調和し、民家の延長のように建築をつくる事で、来訪者は、島民の家を訪ねるような感覚で、この『長屋』を訪ねる事が出来ます。また、島民達にとっても、この場所を自分達の家の延長のように、新しいコミュニケーションの起点のように、この『長屋』を利用してもらいたいと考えました。

内部は、中央のオープンスペースを中心に、各スペースが一体的に連続する構成としました。各スペースには屋根や壁面に設けられた開口から多様な光や風景が入りこみ、時間帯によって表情の変化を体感することができます。「日土小学校」に代表される、風と光を大切にする八幡浜の建築風土を継承することで、来訪者や島民に、島の豊かさを再認識してもらいたいと考えました。

また、エントランスとレンタサイクル保管場所をそれぞれ3方向に対して設けることで、海側にも山側にも自由に行き来できる構成としました。
提案では、海、民家、山、そしてそれを結ぶ道路・・・その全てが大島の財産であるという視点に立っています。そのため建築は、敷地の全方位に対して働きかけた構成となっています。

私達は、この場所に「人が住まう」姿を想像しています。来訪者がこの建築に滞在している間、あたかもこの場所に住んでいるような気持ちで海を眺め、散策し、島民たちと交流してもらえればと考えました。
また島民達に対しても、ここに来れば誰かに会える、もう一つの家のような存在になって欲しいと考えました。
その意味でこの場所は、来訪者と島民がつかの間、同居して生活することが出来る『長屋』と呼ぶ事が出来ます。

一つの建築が、来訪者や島民、そして島や地域の明るい未来のきっかけになればと願い、【来訪者と島民の長屋】を提案します。

 


 

◉ダイアグラム

長屋、異なる屋根形状をもつ6つのヴォリューム

窓、それぞれの役割
歩行者と自転車、4方からアクセス可能

 

◉シーン(矢印:撮影ポイント)

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大島の町なみの作られ方に寄り添いながら、島の新しいシンボルとなるような建築を検討した。

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エントランス及びレンタサイクル保管場所を外周部3方向に設け、海・山両側から自由にアクセス。

 

 

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西側エントランスより館内を見る。ハイサイドライトやL型窓など多様な開口がつくる連続性。

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喫茶・休憩スペースより、島内案内所、及び特産品売場を見る。来訪者と島民の交流の場。

 

 

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床高を上げ屋根を設けたオープンデッキ。大きな縁側空間のような居場所を目指す。

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乗船待合所を見る。家のリビングで過ごすような、ゆったりとした時間。

 

 

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新しい島の玄関口。諸室や道に囲まれたオープンデッキでは様々なイベントを開催。

 


 

◉コンペ概要

八幡浜市の中心部から南西の沖合10kmに位置する離島、大島地区において、島民や観光客の賑わいと憩いの空間づくりを行うため、地域交流拠点施設の提案を募集していました。
島内には来訪者が自由に滞在できる施設が無いことから、島のシンボルとなり、観光客と地元の人たちがふれあえる機能を持ち、島の自然や風景を生かしたイベントの開催や島での暮らしの情報発信の拠点にもなる交流拠点施設として、地元素材をそのまま活用した木造建築で、利用者もゆっくりとした時間を過ごすことができ、加えて内装や家具にも木材をふんだんに使用した温かみを感じることができる施設が求められました。

大島交流拠点施設(仮称)について:https://yawatahama-oshima.localinfo.jp/pages/886366/jigyo

 

update:2017.9.13


 

【来訪者と島民の長屋 | HOUSE of ROOFS】
大島交流拠点施設(仮称)デザイン設計競技 | 応募案 | 交流拠点施設 | 151.66㎡ | 日本/愛媛県/八幡浜市 | 2017 JUNE