【大きな横浜のための、大きな植木鉢】

【大きな横浜のための、大きな植木鉢】は、「第2回 まちを楽しくするストリートファーニチャーデザインコンペティション」の応募作品です。
当コンペティションでは、横浜の街の活性化を目的に、「第33回全国都市緑化よこはまフェア」会場の一画、神奈川県横浜市グランモール公園(横浜美術館前)に設置するためのストリートファニチャーについて、横浜のまちがより魅力的で楽しくなるようなストリートファニチャーの提案を募集していました。

提案の大きな植木鉢は、外から見ると大きな土のかたまりの様ですが、
中には人ひとりが通れる程度の道が空けられていて、小さな動物になった気分で中を自由に散策することができます。

小さな動物として、横浜を改めて見つめてみると、まちの中に”大きなスケール感”を発見することができます。
植木鉢での体験はまちの新たな発見につながり、また新たな発見を導きます。
”どうして横浜は大きなスケール感でつくられているのか?”
例えばそんな問いかけが生まれることを期待し、横浜のまちをより楽しむためのきっかけとして、【大きな横浜のための、大きな植木鉢】を提案しました。

 


 

◉ 作品/【大きな横浜のための、大きな植木鉢】

a. コンセプト -大きな植木鉢:横浜の大きなスケールを体感するための「スイッチ」-

<プレゼンテーションスライド>
コンペ公開審査会(二次審査)にてプレゼンテーションしたスライド。
提案の背景やコンセプトについて伝える内容です。

① 大きな横浜のための、大きな植木鉢
② 辺りは大きなスケール感が特徴的なエリアです。この横浜の魅力である「大きくゆとりあるスケール感」を、より体験するためには?
③ そこでテーマは、「小さな動物になった気分で街を歩く」と設定。
④ 猫の景色。大きなものに囲まれる、このスケール感は横浜での体験にも通じます。
⑤ そこで、「大きな植木鉢をつくり、小さな動物になった気分で歩く」、そんな横浜らしいストリートファーニチャを提案したいと考えました。
⑥ 既設の石型ベンチと大きさ・形状を合わせるようにして分割した、大きな植木鉢を計画します。
⑦ 大きな森の中に、スリバチ状の植木鉢を置く。
⑧ 砂のカタマリとして植物をつくります。
⑨ 最終日にはお花をプレゼントするイベントなどを開いてもいいかもしれません。
⑩ 大きさは一辺が5.5m角、スリバチ状になっていて、高さはmin:1.3m(人の目線の高さ)、max:1.8m(人が隠れる高さ)に設定。
⑪ この大きな土のかたまり、中には道が空けられていて、
⑫ 土の道を進むと、
⑬ 既存の石型ベンチや樹木を利用してできた、動物の住処のようなスペースに繋がったり、
⑭ スリバチの中心であたりをぐるっと眺める、
⑮ これらはまるで小さな動物になって土の中から”大きな世界”を楽しむ、そんな体験です。
大きな土のカタマリがつくるスケール感を楽しんでもらいたい。
⑯ このストリートファーニチャを体験した後、改めて横浜の街を巡ります。
⑰ 大きな植木鉢は、横浜の魅力を体感するための「スイッチ」の役割を担い、「小さな動物になった気分で街を歩く」というストーリーを横浜の街に挿入します。
 

グランモール公園一帯は、大きな道、大きな街区、大きな建物が特徴的なエリアで、ゆとりのあるスケール感が魅力の街です。
周辺には横浜美術館、大さん橋、横浜赤レンガ倉庫、その他ショッピングモールなどがあり、横浜観光の中心的な場所。ここに、横浜の魅力を体感できるような、ストリートファーニチャーをつくりたいと考えました。

「スリバチ状の大きな植木鉢の中を、小さな動物になった気分で歩く」

グランモール公園、横浜美術館前の木が植わる一角に、スリバチ状の大きな植木鉢を置きます。
この大きな植木鉢は、外から見ると大きな土のかたまりの様ですが、
中には人ひとりが通れる程度の道が空けられていて、四方それぞれから中に入ることができます。

土の壁に挟まれた細い道を進むと、
広場のように開けた場所や、小さなくぼみを利用してつくられた巣のようなスペースに繋がっていきます。
スリバチの中央からぐるっと周囲の植物を眺めたり、
中に取り込まれた既設の石型ベンチに寝転がったり、
それはまるで小さな動物になって土の中から”大きな世界”をみるような、そんな体験です。

改めて横浜のまちを歩いてみる、周辺に広がる横浜の街の独特なスケール感を味わうようにして。
このストリートファーニチャーは、横浜の魅力を体感するための「スイッチ」の役割を担い、
「小さな動物になった気分で街を行く」というストーリーを横浜の街に挿入します。

そして、改めて横浜のまちを見つめてみる。
「どうして横浜ってこんなに大きいのだろう」
そんなふうにまちの成り立ちや歴史に目を向ける人がいるかもしれない。
【大きな横浜のための、大きな植木鉢】は、横浜のまちの見え方が変わるような、”新しい世界の入り口”として計画しました。

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b. 展示風景

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◉ 作品ができるまで(コンペ応募から製作まで)
2016年末のコンペ応募から、2017年5・6月の展示までの約半年間、どのように作品がつくられてきたか、5つの場面に分けてご紹介します。

①コンペ 一次審査(2016年12月10日)
応募作品124点のなかから、一次審査にて【大きな横浜のための、大きな植木鉢】を含む入賞作品8点が選定されました。これら8点の中から公開審査会を経て、実施製作される優秀賞3点が選ばれます。

プレゼンテーションシート(PDF)

 

② コンペ二次審査 公開審査会(2017年1月21日)
一次審査にて入賞した8点の作品について公開審査会(プレゼンテーションと質疑)が行われ、実際に製作する作品として優秀賞3点が決定しました。優秀賞に選ばれた【大きな横浜のための、大きな植木鉢】を含めた計4点の作品は2017 年5 月23日から6 月4日まで、横浜美術館前の遊歩道・グランモール公園、「第33回全国都市緑化よこはまフェア」にあわせて設置されることに。

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他の受賞作品については、コンペホームページよりご覧いただくことができます。
・【彩られた風のイスたち】 山口貴司
・【ひさしぶね】 大森有佳理・小沼有見佳
・【コモレビト】 内山祐也

「第2回 まちを楽しくするストリートファーニチャーデザインコンペティション/審査結果」:http://streetfurniture.jp/0121-result.html

 

実施計画(〜2017年5月8日)

a. 運営計画
「第33回全国都市緑化よこはまフェア」の横浜市担当者、コンペ運営委員の株式会社キクシマ、ストリートファーニチャー提案者の三者で協議。屋外に開放されるというストリートファーニチャーの性質上、”誰でもいつでも触れることができる”ということが大前提のため、どう安全を確保していくのか、ハードだけで対応しようとせず、様々な角度から検討を重ねました。

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b. 実施設計
「第33回全国都市緑化よこはまフェア」に関連する他の作品も含め、互いに鑑賞しやすいよう、設置場所をコンペ応募時から少しだけ変更(商業施Mark is 前の植樹エリアから横浜美術館前へ、西側に100m程度移動)。
作品内での安全性を確保するため、外周部から中を見やすくしたり、施工性や経済性を考慮し、作品全体のヴォリュームをコンパクトにするなどの検討を行いました。
また、他の受賞作品や、周辺の環境との繋がりを感じられるよう、入り口や道の作り方を改めて計画し直しました。

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c. 施工計画
施工を担当していただくbricoleurの東郷さんと材料や施工方法、工程について検討を重ねました。

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d. 砂のかたまりstudy
植木鉢を砂のかたまりとして表現ため、壁部をどう仕上げていくのか、多摩美術大学 演劇舞踊デザイン学科教授の山下恒彦さんや、NHKアートグループ 渋谷工場 造画班の佐藤愛さん、舞台美術背景用材料専門店の株式会社浅井の方々にご協力いただきながら、材料やつくり方を検討。
土の種類の選定や、強度、施工性を確保できる塗料・土など材料の調合、それらの塗り方などについて、studyを繰り返しました。

<study日記>

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④ 工場製作(〜2017年5月16日)
コンペ運営委員の株式会社キクシマが所有する鉄骨工場の一角をお借りして製作しました。
木部の施工はbricoleurの東郷さん、土のかたまり表現の製作は当事務所スタッフの志水さんに、それぞれ担当してもらいました。

1. コンペ運営委員の株式会社キクシマの鉄骨工場にて製作開始。
2. まずは床板を製作。
3. 床板に角材でつくった骨組みを合わせる。
4. 板材は針葉樹合板を使用。
5. 側面に板材を貼り付け。
6. 現場用の模型。全部で10のピースを製作。
7. 各ピースが出来上がると、左官作業に。
8. 黒土、外壁用塗材、水などを調合。
9. よく混ぜ合わせて土のペーストをつくる。
10. 木ごてを使って塗り付け。
11. あえて塗りムラをつくり、土のかたまりの表情を出す。
12.乾燥する前にハケで叩き、押し固める。
13.フルイにかけたピートモス。
14.ところどころにピートモスを振りかける。
15.最後に、スポンジで抑えつける。
16. 乾燥前の土のかたまり。
17. 乾燥後の土のかたまり。塗り厚によってひび割れ具合に幅を持たせる。
18. 濃いまだら模様はピートモスが付着している部分。
19. 側面の左官作業が終わった各ピース。
20. 現場搬入のため、中の骨組みを利用して吊り上げ。
21. 4tトラックに積み込み。
22. グランモール公園に向けて出発。
23. 次は現場作業へ。
 

⑤ 現場製作(〜2017年5月22日)
現場への搬入・設置については、コンペ運営委員の株式会社キクシマにご担当いただきました。
作品内には重しとして砂袋を敷き詰め、横浜の強い風圧だけでなく、万が一、ぶつかった時にも作品が転倒しないよう対応。
設置が終わると、「第33回全国都市緑化よこはまフェア」よりご提供いただいたお花を植えて作品の完成です。

1. 現場へ搬入。
2. クレーン付きトラックで積み下ろし作業。
3. 全10ピースの位置を調整。
4. 現地にて土のかたまりの補修作業。
5. 中に重しとして砂袋を入れ、天板を固定。
6. 天板部分に土と植物を入れていく。
7. 植物は「第33回全国都市緑化よこはまフェア」よりご提供いただきました。
8. 植物の位置決め。
9. 植物が倒れないよう、パレットを加工。
10. ひと株ずつ、植物を植えていく。
11. 隙間にも黒土を入れる。
12. 緑に覆われた土のかたまり。
13. 植栽が終わると、いよいよ完成。
 

 

◉ コンペ概要
「第2回 まちを楽しくするストリートファーニチャーデザインコンペティション」は、横浜の街の活性化を目的に、「第33回全国都市緑化よこはまフェア」会場の一画(横浜美術館前の遊歩道・グランモール公園)に設置するためのストリートファニチャーについて、提案を募集していました。

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審査委員長:飯田善彦(日本建築家協会神奈川地域会代表 建築家)
審査員:綱河功(横浜市都市整備局 都市デザイン室長)
審査員:藤森泰司(藤森泰司アトリエ 家具デザイナー)
審査員:山下恒彦(多摩美術大学 美術学部 演劇舞踊デザイン学科 教授)

運営委員:(株)アーチ(株)アド・クリエイション(株)ありあけ(株)キクシマシックコンピューター(株)(医)湘南太陽会(株)ダイイチ/(株)花光/日本料理 広美(株)メモワール(株)ヨコハマ機工(株)横濱屋
協力:(株)旭広告社(株)アルテック板橋商事(株)伊藤建材(株)/江戸徳・エドマリン/愛嬌酒場えにし(株)エリアドライブ/(株)オルフィックデザイン/勝烈庵(株)ジョビア(株)カンディハウス横浜(医)木津歯科しぇあひるずヨコハマみなとみらい税理士法人 高田会計事務所税理士 髙橋稔事務所田辺商事(株)tvk日総ブレイン(株)富士テクノ(株)山本商会(株)横浜F・マリノス(学)石川学園 横浜デザイン学院(株)横浜リテラ/(株)吉永商店
協賛:秋山眼科医院(株)あじかん(株)アック 相模原営業所(株)アナザーウェア(株)アマノスタジオ/(株)飯岡工務店/石井造園(株)(株)泉八NTT東日本 神奈川事業部(株)大川印刷大江電機(株)(株)オフサイド(株)オリマツ(株)加賀美自動車川本工業(株)(株)協進印刷クインメリー関内本店(株)栗田園クルーズ・クルーズ YOKOHAMA 横浜 星のなる木/KI税理士法人/Cota Flower(株)髙陽印刷所型枠工事 (株)七和工務店(株)シフト(株)湘南サッシ商会/(株)鈴木木工/(株)須長製作所(株)曽根靖裕デザイン事務所(株)泰山園(株)タウンニュース社(株)高尚(株)谷川商店(株)近澤レース店(株)仲亀日本木槽木管(株)/(株)花の店ヤマザキ/はまかぜ新聞社浜銀ファイナンス(株)早川運輸(株)不二物産(株)平安薬局 東戸塚(株)保険工房(株)フラワーながい(株)マインズクリエイト港ポンプ工業(株)司法書士・土地家屋調査士・行政書士 ユニバーサル総合事務所(株)横須賀板硝子建材センター横浜銀行横浜信用金庫(有)リズミック六華(株)/(有)ワイヤリング正元
後援:FMヨコハマ/神奈川銀行/(株)神奈川建設産業通信社/(一社)神奈川県建築士会神奈川新聞社関内まちづく振興会建設通信新聞社/JA横浜/タウンニュース社tvk(テレビ神奈川)日本経済新聞社 横浜支局(公社)日本建築家協会 関東甲信越支部 神奈川地域会 (JIA 神奈川)ぱど/三井住友銀行/三菱東京UFJ銀行/横浜銀行/横浜広告協会/横浜市 環境創造局 みどりアップ推進部 全国都市緑化フェア推進課(公財)横浜市芸術文化振興財団(一社)横浜市建築士事務所協会(一社)横浜市工業会連合会/横浜信用金庫/(公社)横浜中法人会(一社)横浜みなとみらい21
以上、協賛83社

「第2回 まちを楽しくするストリートファーニチャーデザインコンペティション」ホームページ:http://streetfurniture.jp

 


 

◉ 第33回全国都市緑化よこはまフェア
第33回全国都市緑化よこはまフェアは横浜市、公益財団法人 都市緑化機構が主催するイベントで、「歴史と未来の横浜・花と緑の物語」をテーマとして、美しい花と緑豊かなまち横浜の実現を目指しています。
「ガーデンネックレス横浜2017」の愛称で、2017年3月25日(土)~6月4日(日)の72日間、「みなとガーデン」として、山下公園や、グランモール公園、横浜公園、象の鼻パークなどの都心臨海部、「里山ガーデン」として、横浜動物の森公園などの郊外部など、横浜の様々なエリアを舞台に展開されています。

<ポスター>

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<みなとガーデン(都心臨海部)ガイドマップ>

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<里山ガーデン(郊外部)ガイドマップ>

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「第33回全国都市緑化よこはまフェア」ホームページ:http://yokohama-fair2017.city.yokohama.lg.jp

 

 


作品案内ポスター(PDF)

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◉ 担当者

設計・監理
山本展久(山本展久アトリエ 荒川企画室)

スタッフ:プロジェクト担当(土のかたまり表現・植栽計画・現場監理)
志水昭太(山本展久アトリエ 荒川企画室)

施工
東郷哲史(bricoleur

現場搬入・設置/製作工場提供
株式会社キクシマ

植物提供
第33回全国都市緑化よこはまフェア実行委員会

運営
まちを楽しくするストリートファーニチャーデザインコンペティション事務局
第33回全国都市緑化よこはまフェア実行委員会

update:2017.7.12


 

【大きな横浜のための、大きな植木鉢 | a cake of sand】
第2回 まちを楽しくするストリートファーニチャーデザインコンペティション (第33回全国都市緑化よこはまフェア関連イベント) | ストリートファーニチャー(植木鉢)/インスタレーション | 20.25㎡ | 日本/神奈川県/横浜市 | まちを楽しくするストリートファーニチャーデザインコンペティション事務局 | 優秀賞(1選)/実施製作 | 2017 JUNE