【広島プラネタリウム -地名図プロジェクト-】

広島にとって、空は特別なものだ。
広島の空は、街の過去や未来を投影するための余白である。

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<地名でつづる”広島の星空”>

広島にとって、空は特別なものだ。
広島の空は、街の過去や未来を投影するための余白である。

広島の地名を眺めてみると、例えば、色、数字、動物、、そこに含まれる文字の中に様々な関連性を見出すことができる。
本作品は、445ある広島市の地名を“星”に見立て、文字の意味や特徴を頼りにまるで“星座”を結ぶようにそれらを関連付けることで、今までとは異なった広島の物語を浮かび上がらせ、街を再解釈しようという試みである。

地名をプロットした“広島の星空”を、プロジェクターを用いて投影。
例えば、「動物」の文字を含む地名のみをピックアップ、“星座”を結んでいく。
来館者はぼうっと星空を眺めながら、次々に提示された“星座”から街の物語を想像する。

地名には地形や履歴、人々の活動など、様々な場所の情報が刻まれているため、来館者の頭に浮かんだ物語はもしかすると街の歴史そのものかもしれないし、全くのデタラメかもしれない。
…そう、どちらでも良いのだ。
なぜなら、その物語こそが広島の過去を知るきっかけとなり、未来をつくる手助けとなる可能性を秘めているのだから。



◉ 作品コンセプト -テーマ「広島ブランド」にどう応えるか-

1. 街そのものを知るには? -広島のイメージを一旦リセットする-

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お好み焼き、宮島、広島カープ、、広島と一声上げれば、たくさんの名物・名産、有名スポットが集まってきます。これらは既に「広島ブランド」として多くの人に支えられ、愛され、親しまれていますが、僕たちはブランドを扱う前に、まず広島の街そのものについて知りたい、自分たちなりに理解したいと考えました。
一旦これらのイメージをリセットしつつ、広島の街を捉える方法を模索する中で、地名に注目することとなります。

 

2. 地名から街を想像する -地名の調査・研究-

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例えば、広島には猿猴川(えんこうがわ)という川に由来する地名があります。
猿猴とはカッパのことで、この川にはカッパがいたのか、ということはさぞきれいな川だったのだろうな、というように想像がふくらむ、地名の中に歴史や物語を感じることができます。
このように、地名を通じて街を見つめ直してみると、新しい街の物語が生まれるかもしれないと考えました。
そこで地名の調査を進めてみると、広島市の地名(郵便番号に基づいた町域)は全部で445あり、275の漢字が使われていること、また含まれる文字の中には数字、季節、動物といったようにその意味に関連性を見出すことができるなど、いくつかのことがわかってきました。

具体的に見ていくと、275の漢字のうち色に関連するものとして、「赤」のイメージが強い広島ですが、地名では「白」が14箇所と最も多く使用されています。また、季節で言えば「春」「夏」「冬」がなくて「秋」が1箇所だけ存在し、毛利元就の三本の矢を思わせる「矢」が8箇所の地名に使われていたり、「牡蠣」はないが「蟹」「海老」はあるなど、地名と広島のイメージとの関連で見るのも面白い。
「宝」や「富士」、「愛」などキャッチーな漢字も1箇所ずつ見られ、”例えば広島の宝はどこにあるのか”という架空のガイドマップを想像することもできます。

 

3. 広島らしさってなんだ? -広島の街と大きな空-

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広島の街には2600を超える橋が架けられており、いたる所に川が流れています。
また、広島の道は路面電車が走っていることや、戦災復興の経緯を含むことで、広い道路幅として計画されています。
川や道路の上は開けていることが多く、広島には大きな空が確保されています。
人口約120万人という大きな街にあって、これだけ空を感じることができる街もそう多くないのではないか。
広島を訪れるたび、なんとなく空を見上げることに気づくと、大きな空は広島の特徴ではないかと考えるようになりました。
地名そのものを扱うことは他の地域でも展開可能ですが、「地名」と「広島の大きな空」を掛け合わせることで、広島らしい展示を目指しました。

 

4. 地名を星に見立てる -星座でつくる街の(デタラメな)物語-

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「地名」と「広島の大きな空」を掛け合わせてつくる【広島プラネタリウム】、445ある地名を星に見立て、文字の意味を頼りに、まるで星空を結ぶように関連づけて、今までとは異なる広島の物語を浮かび上がらせ、街を再解釈しようという試みです。
物語はもしかすると街の歴史そのものかもしれないし、全くのデタラメかもしれない。
そのいずれであったとしても、物語は広島の過去を知るきっかけとなり、未来をつくる手助けとなる可能性を持っているのではないでしょうか。

展示では下記の16の物語を用意しました。

第1話  広島の色
第2話  広島の数字
第3話  広島の名所
第4話  広島の動物園
第5話  広島の街
第6話  広島の四季
第7話  広島の気候
第8話  広島のラッキースポット
第9話  広島のお参りスポット
第10話 広島の道具屋街
第11話 広島のモンスター
第12話 広島の太陽系
第13話 広島の初日の出スポット
第14話 広島の植物園
第15話 広島の乗り場スポット
第16話 広島の地形

 

5. 鑑賞者にも想像してもらうために -展示構成-

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鑑賞者自身に街の物語を想い描いてもらうために、提示する物語がその邪魔になることがないよう、あくまで例として上映する物語を選定したり、座ってぼーっと眺めていられるような空間づくりを目指したり、家に帰ってからも街について考えてもらうツールとして配布資料(地名図)を用意したりしながら、展示構成を整えました。
ぜひ皆さんにも自由に街の物語を想像してもらいたい。
その物語はこれから様々な広島ブランドにつながる種になるかもしれない、、
【広島プラネタリウム】を新しい広島を発見するための手助けにしていただくと幸いです。



◉ 準備したこと -展示プランの検討/設営-

a) 地名図

広島市の地名を郵便番号に基づいた町域にあわせて集計しました。
主な調査結果は以下の通りです。

・広島市の地名は全445(町域)
・地名に含まれる漢字は全274種
・地名に含まれる漢字は多いものから順に、「町 (252回)」「東 (42回)」「南 (38回)」「山 (37回)」「田 (35回)」「西 (31回)」「中 (30回)」「上 (22回)」「大 (20回)」「本 (20回)」「野 (20回)」
・地名に含まれるカタカナは「センター」の全1種
・地名に含まれるひらがなは「くすの」「あさひが」「が」「の」「くるめ」の全5種

これらを広島市の地図(1/150000)にプロットし、地名図として表現しました。

<地名図> PDFダウンロード

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b) 展示物の計画

プロジェクターから投射された映像を鏡を用いて反射させ、天井から吊り下げたドーム型投影面に映します。
来館者は空を見上げるように、ぼうっと眺められるよう計画しました。
ドームは遮光性や東京から広島までのモビリティ、現地での設営のしやすさなどを考慮して、三角形に分割した3mm厚のダンボールとクリップのみで製作します。
直径は1.5mほど、人が2、3人入って眺められる程度の大きさになる予定です。
その他キャプション台、ポストカード台、配布資料台、鏡台などの什器も同様に、ダンボールで製作することで、飛行機機内に持ち込むことのできる大きさ、重量としました。

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c) 展示レイアウト

体験型作品として、来館者にゆっくりと滞在してもらうため、キャプション台、ポストカード台、配布資料台、鏡台、丸座布団を渦巻き型に配置、会場内全体の動線を取り込むように作品を配置しました。

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d) 設営

1.ダンボール板とクリップのみでドームを組み上げる。
2.あらかじめ用意しておいた三角形のパーツをいくつかのまとまりに。
3.各パーツを接合。
4.ダンボール板に施したリブ同士をあわせてクリップを留める。
5.リブを外側にすることで、投影面の障害物を取り除く
6.ドームはハット型にすることで半球型を保持することができる。
7.ハットのつば部分はV型に留めたクリップで固定。
8.吊り下げたドームとダンボール什器。
9.プロジェクターの光をドームに反射させる鏡
10.投影面のドームは直径1.5m。
11.吊り下げたドームが空調で揺れないよう、吹き出し口を塞ぐ。
12.作品を説明し、各展示空間を緩やかに仕切る懸垂幕。



◉ 展示の様子

a) 案内図 -広島市現代美術館作成・配布-

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b) 展示風景

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

c) 他の展示作品

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本展は【広島プラネタリウム】を含め、9つの入選作品が同時に展示されました。

・「架〜KAKARI〜」北川 太我
・「HIROSHIMA FAN・MIYAJIMA FAN」博多 努/一級建築士事務所Tree
・「水が“わ”を呼び、色をつくる」北山 裕貴
・「HIROSHIMA Spinning」田邊 和音
・「Hiroshima Dialect T-shirt」土屋 朱梨
・「ボタニカルふりカキ」野﨑 俊佑/NOZa-maru・有建築研究所
・「MIYAJIMA PADDLE(ミヤジマ パドル)」藤本 聖二
・「ハイカラさんが通る」森 友里歌

これら作品の概要については以下のURLよりご覧いただけます。
コンペ・展覧会WEBサイト(広島市現代美術館):https://www.hiroshima-moca.jp/h-brand/prize.html

 


◉ 作品のモバイル化 -物語を街に持ち出す-

a) コンセプトムービー
準備中

 

b) コンセプト

本作品は、画像投影型作品【広島プラネタリウム】のモバイル版として改めて製作されたもので、地名から新しい広島を発見するためのまち歩きツールです。
展示作品と同様に、445ある広島市の地名を“星”に見立て、文字の意味や特徴を頼りに、 まるで“星座”を結ぶようにそれらを関連付けることで、 これまでとは異なった広島の物語を浮かび上がらせ、街を再解釈しようという試みです。
中に挟み込む「ストーリーシート」によって、表れる地名が変化し、 様々な街の物語を映し出す仕様となっています。

商品はモバイルキットとして、購入者それぞれの物語を思い描いてもらえるよう「オリジナルストーリーシート」を同封しています。

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c) ストーリーシート
「ストーリーシート」については、以下よりPDFデータ(A3サイズ)にてダウンロードいただけます。

1) オリジナルストーリーシート(自作用)
2) 広島の色
3) 広島の数字
4) 広島のお花見スポット
5) 広島の富士
6) 広島の必勝祈願スポット
7) 広島の宝探し
8) 広島のラブスポット
9) 広島の名湯
10) 広島のお食事処
11) 広島の動物園
12) 広島の街
13) 広島の四季
14) 広島の気候
15) 広島のラッキースポット
16) 広島の松竹梅
17) 広島の鶴と亀
18) 広島の神様・仏様巡り
19) 広島の道具屋街
20) 広島のモンスター
21) 広島の太陽系
22) 広島の初日の出スポット
23) 広島の植物園
24) 広島の乗り物
25) 広島の地形

 

d) 取り扱い店舗

「広島プラネタリウム モバイルキット」については、2018年4月1日より広島市現代美術館ミュージアムショップにてお取り扱いいただく予定です。
またオンラインショッピングについても現在準備中です。



◉ コンペ・展覧会概要

コンペティション「ゲンビ『広島ブランド』デザイン公募2017 」

テーマ:「広島でデザインをあそぶ デザインで広島を組み立てる」
広島市現代美術館が主催する「ゲンビ『広島ブランド』デザイン公募2017」は、広島にちなんだモノ・コトにまつわるデザイン案を募集し、 入選作品を展覧会として紹介するオープン・プログラム。
広島の名産品や風土、文化をテーマとし、広島の暮らしをデザインの観点から改めて問い直すような、「広島ブランド」の再構築としてのデザインアイデアを募集していました。

審査員:川上典李子(noriko kawakami office/デザインジャーナリスト)
審査員:藤森照信(建築家・建築史家)
審査員:皆川明(minä perhonen/デザイナー)

主催:広島市現代美術館
協賛:オリエンタルホテル広島
協力:広島商工会議所青年部

 

・展覧会概要

会期:2018年2月17日(土)から3月4日(日)まで
時間:10:00-17:00
入場料:無料
会場:広島市現代美術館(広島県広島市南区比治山公園1-1) 地下1階ミュージアムスタジオ

 

・リーフレット

HIROSHIMAPlanetarium_17

コンペ・展覧会WEBサイト(広島市現代美術館):https://www.hiroshima-moca.jp/h-brand/prize.html

 


【広島プラネタリウム -地名図プロジェクト-】
ゲンビ『広島ブランド』デザイン公募2017 | 地名図プロジェクト | プラネタリウム (展示作品) | 日本/広島県/広島市 | 入選 | 2017 NOVEMBER – 2018 MARCH