お店いっぱいに、風車型に組まれたカウンターテーブルを置く
【主客の風車】は、日本料理店についての提案です。
生まれ育った兵庫県西宮市で独立したい、料理人であるクライアントは、料理とあわせて、
設計をはじめる前にクライアントの働く姿を見せてもらいましたが
また、料理人1人ですべての作業を行うため、
敷地は西宮市の住宅街にあるマンション1階角地、
ここに既存設備の位置を考慮しながら、
1. ”舞台”をつくる
料理人のふる舞いやコミュニケーションを楽しむための空間として
彼のアクティビティをなぞるように(
お店全体を行き来しながら調理する料理人の姿を楽しむ
2. 風車型カウンターテーブルとコミュニケーション
次に、気兼ねない雰囲気をつくり出すための工夫として、
”料理人のエリア”と”お客さんのエリア”
主客の関係(=領域)があいまいになる空間を目指しました。
緊張感のない、
また、
料理人とお客さん、
3. 夙川と桜
このあたりは近くを流れる川の名に由来して「夙川」と呼ばれています。
春になると川沿いは桜でいっぱいになり、
近くの駅にも「さくら」の名が使われています。
また、大窓の外にも桜並木が見えています。
そこでカウンターテーブルの天板は地元兵庫県但馬の桜無垢材を使用し、
お店と街の縁を取り持ってもらうことにしました。
4. 景色に奥行きを与える大窓
既存の大窓を活かして、店内を完全に間仕切ることなく見通し良くつくり、外からお店の奥まで望めるように計画。
店内からは、外の景色を眺めることができる開放的な空間とし、
外からは、前を通る人がすっと誘い込まれるように”舞台”をふと覗き込む。
内側と外側、両方の景色に奥行きをつくりながら、この大窓を通じてお店と街が繋がります。
竣工してお店に伺ったとき、
大窓越しに覗き込む人と、
そんな光景を何度も目にしました。
住宅街にどんな景色をつくるのか、
【主客の風車】は料理人とお客さん、
●フード
炭焼台やガスコンロに対応して、1.7m×2.1mの大きな造り付けのフードを設置。
内部に照明を取り付けることでフード内側に光が反射し、
大きな照明装置としての効果も。
●アルミニウム板
カウンターテーブルの繋がりを表現するため、
通路用にカウンターテーブルを切り欠いた部分の床およびカウンター側面等に、
ヘアライン加工のアルミニウム板を設置。
床用アルミニウム板はハンマー等で荒らし、
紋様を付けて滑り止め対策を施しました。
アルミニウム板の監修は東京都荒川区の坂見工芸にお願いしました。
<アーキディレクション> 山本展久:山本展久アトリエ 荒川企画室
<設計・監理> 菊池甫:菊池甫一級建築士事務所 | oohk
<施工> 東郷哲史:bricoluer, 木村圭佑
<アルミニウム板 監修> 坂見英一:坂見工芸
<写真撮影> 麥生田兵吾
【 主客の風車(かざぐるま)】
t日本料理店 店舗改修計画 | 実施計画(プレゼンテーション) | 飲食店(リノベーション) | 44.11㎡ | 日本/兵庫県/西宮市 | 2016 AUGUST